工場内のすべての機能を一直線に形成することで、ロスのない動線を実現

利便性、効率、雰囲気、快適性、清潔度、施工性、安全性。
さまざまな要素が絡み合い、建物は出来上がります。
私の仕事はコミュニケーションを深めながら、施主さまにとっての〈ベスト〉を見つけること。
デザインの力を建築にどのように生かしていくのかが、腕の見せどころです。

具体的な実績で、弊社のデザインスタイルをご紹介します。

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建物が固有の存在感を放てるように、デザインはとことん自由に

わかりやすくシンプルな意匠設計、効率的な構造設計と明解な設備計画。 設計は合理的なものが良いとは思いますが、デザインはそこに納まらず、まれに自由な表現を求められることがあります。
これがその一例で、企業の展示館です。
大きな傘のような屋根で全体を多い、展示物と対峙しながらも、施設全体の存在感を感じられるように工夫しました。展示順路は〈一筆書き〉と表現される接室順路形式。来展客が順を追って展示物を見られる形式ですが、ともすれば単調になりがち。
そこで、床レベルに変化をつけ、進むにつれて目の前に新しい空間が広がり、展示物がニュートラルに浮かび上がるようなつくりにしました。
平面は14×22メートルの長方形のワンフロア。
エントランスと展示スペースの高低差は3メートル。中央に特別展示室、天井はスケルトン、規則性のない大きな傘に合理性は与えず、床の形状にも合わせず、屋根を支える壁もない。この大きな傘はとことん自由なデザインを追求しました。
その結果、建物は固有の存在感を持つキャラクターとして来展客に印象づけられます。ポジティブなキャラクターにするために、多くのデザイナーが協力し、生命力を創り出すことができました。

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色選びは理論的に整理していくことで、バランスが良くなる

こちらは色見本。店舗のメイクルームに設置する椅子の色を検討しています。コンパクトなメイクルームで、休憩や手洗いのスペースもあり、コートハンガーなどの備品も多く、ホールのような役割も担っています。
このような部屋の色決めは、まずは何を際立たせるのかを考えます。施術を受けるお客様の視点に立つと、施術室のドアと部屋の名前が記されたサインのブロンズ色を際立たせた方がわかりやすい。
他の色はトーンを合わせ、全体で落ち着いた印象に仕上げました。写真の色見本は左が床のタイル、中央の黒い2枚はテーブル、椅子の色は約9色のサンプルから床の色に近いライトグレーをセレクト。
色を決めることに正解はありませんが、理論的に整理していくことで、バランスの良いコーディネートを見つけられます。

食堂は主に食事をする場所という発想

社員食堂といえば、文字通り、社員のみなさんが食事をする場所です。ところが、最近は社員食堂の概念も変わりつつあります。
こちらは工場内の社員食堂。約300人の従業員のみなさんが利用します。この食堂に、食べる場所以外の機能を持たせました。
窓際は山の景色を見たり、スマートフォンを利用したりできるスペースに。外部電動ブラインドにより日射しもブロック。簡易なメイクスペース、卓球やダーツができるエリアなど、多様なスペースをつくりました。さらに、ミーティングやイベントも開ける空間もあります。オープンキッチンで調理をする女性スタッフも明るく開放的な空間の中で、食事をする社員の顔が見えるため、少しうれしい様子。食堂という場所に多様性を持たせることで、そこで働く人の心も行動も変わる。
人が集まり、そこで笑顔が増えていくのは、うれしいですね。

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都市と一体となり、街の魅力を創出していくビル

建築において外観のデザインは印象という点で大きな意味を持ちます。
こちらは若者で賑わう街に建つビル。ランダムなピッチで上昇するにつれて拡大していくアルミルーバーは最頂部でビルのフレームを形成し、8層のテナントフロアを内包するデザインです。人通りの多い交差点に向けてガラス面を構成することで、コマーシャル性も意識。高さ4メートル弱のガラスのカーテンウォールで構成されているため、ビル内の中央から街を眺めると、視界をふさぐものは何もありません。
強烈な個性を持つこのビルは、都市と一体になり、街の魅力を創出していくと思います。

ときには、料理人の気分で仕入れに行く

建物内部で使用する、天然木突板の材料と組み合わせについて、木工所で最終確認を行っているワンシーンです。
建築の仕上げ材料はカタログを見て選ぶ場合もありますが、石材を原石から選んだり、板や外壁などのサンプルを確認したりすることもあります。
この写真の仕上げは〈オーク練り付けミスマッチ仕上げ〉です。
いろいろな木目をミックスしてつくる手法で、ラフな質感が魅力。
確認作業は仕上がりのクオリティに大きく作用します。
素材の状態を確かめるために市場へ行く。
このときは、ちょっとした料理人の気分です。

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ここまでストイックなキッチンは見たことがない

とてもすっきりしたキッチンです。
レンジフード、IHコンロ、オーブンレンジ、食洗機などがビルトイン。このシンプルさに至るまでには、施主さまととことん打ち合わせを行いました。
収納ヴォリュームや収納品の種類と数、どこに何を置くか、これは必要か不要か。キッチンは課題が多いスペースですが、一つひとつを検討していくことで、最高に使いやすい場所に仕上げることができます。
こう見えても、私〈男子厨房に立つ〉タイプです。キッチンまわりのデザインは得意とするところ。
ぜひご相談を。